おもちゃマーケティングで学ぶ「ベイブレード」の相互性と競争性

20~30代前半、または子持ちの親のみなさんは、「ベイブレード」というゴマの対戦型トイを知っていますか?

30代前半くらいまでの男性なら知っている人が大半いると思います。

爆転シュート ベイブレード、メタルファイト ベイブレード、ベイブレードバースト、それぞれの3世代について話したいと思います。

爆転シュートベイブレード

1999年の夏、旧タカラが日本の伝統玩具のベーゴマを改良品として「ベイブレード」を発売しました。

ここから先は爆転シュートベイブレードを知らない人だと、分かり辛い部分があると思いますのであるブログを紹介します。

・おばけブレーダーブログの爆転図鑑

おばけブレーダーブログの爆転図鑑は、パーツの説明だけではなく写真もありますので分かりやすいと思います。

最初の商品は、「アルティメットドラグーン」「サイゾー」「フロスティックドランザー」または、それぞれ3機の色違いだったと思います。

その頃は夏休みだったので両親の実家に遊びに行ったときに祖父と祖母に3つのどれかを買ってもらった人が割といると思います。

1999年冬の頃からは、「バクシンオウ」「パンプキング」「ドラグーングリップアタッカー」「メタルドラグーンベアリングスティンガー」

4つのベイブレードが発売でお正月にお年玉をもらっておもちゃ屋に向かって買いに行った人が多かったと思います。

あの頃は人気で売り切れになった店があちこちあって、欲しいものが見つかるまで探していました。

右回転と左回転の切り替え可能のスピンギアシステム

2000年の夏、右回転と左回転の切り替え可能でベイの心臓部であるパーツが登場しました。

「スピンギア」で史上初の左回転ベイブレードを発売しました。

最初の左回転ベイブレード「ドラグーンS(ストーム)」が出てからベイブレードに対する人気が一気に高くなりました。

どれくらい人気度が上がったのかというと「スピンギア」が登場してから2~3ヶ月後、近所の公園でベイブレードをしている人が見かけるようになったくらいです。

スタジアム上でバトルする姿はあまり見かけませんでしたが、子供同士の独自ルールを作って遊んでいる姿をよく見かけました。

滑り台でお互いにシュートして先に砂場に着いたほうが勝ち。

体力テストのハンドボール投げみたいにシュートしながら遠く飛ばしたほうが勝ち。

下り坂がある遊具で空き缶をベイで多く当てたほうが勝ち。

輪っかがある遊具でシュートしながら投げる感じでうまく輪っかに入れたほうが勝ち。

スタジアム以外、石床、木床、遊具の床など多少デコボコしているところで長く回ったほうが勝ち。

・・・など、独自の遊び方をしていました。

公園遊びでズレてしまいましたが、スピンギアシステムで主人公機である「ドラグーン」が右回転から左回転に変わったきっかけでベイブレードを始めた人が一気に増えました。

きっかけになった原因は3つだと思います。

  • ドラゴンが好きな子供にビッタリなデザインだから。
  • 左回転が「ドラグーン」のみになっているから孤高の存在を感じる。
  • 回転方向が逆だから真正面にぶつけ合うから。

多分、3つのきっかけで今まで興味なかった人が興味に変わり始めた人が多かったと思います。

どれくらい増えたのかというと学校で1クラス約30人、3クラスの中で20人くらい増えました。

当時、ハマった人達は、「真正面でぶつかり合うドラゴンがカッコいい!」から始めた人が多かったです。

2001年6月、ドラグーンSの進化版「ドラグーンF(ファントム)」が登場で更に人気度が上がってきて外で遊ぶ人が増えてきました。

ABS樹脂とポリカーボネートが融合というキーワードに響いた人が多かったと思います。

ABS樹脂は白いプラスチックで、赤い刃みたいなものがポリカーボネートです。

ドラグーンF以外、ドランザーF(フレイム)、ドライガーF(ファング)、ドラシエルF(フォートレス)など、スピンギアを応用した形でスピンギアと軸が一体化になり、専用パーツが出てきていた頃は爆転シュートベイブレードの人気がピークに達してたと思います。

磁力を利用して不規則な動きができるマグネシステム

2001年12月、ベイブレード本体にマグネットを付けて不規則な動きのバトルを可能にしたベイが発売しました。

マグネ軸、マグネコア、マグネウェイトディスクの3種類の磁石パーツを組み合わせてくっつけたり、弾いたりする戦略が増えました。

マグネット効果を発揮するために専用スタジアムの下にくぼみがある部分をマグネットで設置します。

専用スタジアムとはこんな感じです。

画像を見て分かると思いますが、赤いパーツみたいなものがS極のマグネットです。

マグネットパーツ以外、サポートパーツ対応ブレードベースやゴアの内部がアルミのスピンギアがありました。

磁石を利用した遊びで半年以上友達とバトルを楽しめましたが、2002年の秋になる頃はベイブレードに対する熱が一気に冷めた人が少しずつ増えてきました。

10人の中で2人が飽きる確率で減ってきました。

その頃から爆転シュートベイブレードが終わるカウントダウンが始まったと思います。

ゼンマイ式で高速回転をするエンジンギアシステム

2002年12月、軸を一体化にしたスピンギアがゼンマイ式になって発売しました。

シュートしてすぐに起動する「ファーストクラッチベース」と回転が低速になった頃に起動する「ファイナルクラッチベース」があり、ゼンマイの回転を利用してバトルするシステムでした。

しかし、マグネシステムのほうが面白いと不満があった人が何人かいて辞めていきました。

その頃からはベイブレードに飽きて仮面ライダー龍騎、メイドインワリオ、ラチェット&クランクの3つに興味が移り変わる人が多かったです。

従来のベイを小型とメタル化にしたヘヴィメタルシステム

2003年8月、ベイブレードに対する熱が消えて大流行のゲームボーイアドバンスに移り変わり、終わりに迎えた頃に起死回生の一手として開発したヘヴィメタルシステムが発売しました。

しかし、従来のベイと相互性が皆無だったため致命的になってしまい、1年後、終焉に迎えました。

ヘヴィメタルシステムは失敗に終わってしまいましたが、従来のベイより小さくなり、メタルの部分を増やしたことで動きが安定してきて従来の能力より大幅に上がりました。

それだけではなく、両回転の対応が可能で金属部分が多いため、金属同士でぶつかり合いの音が気に入った人がいました。

その後、ヘヴィメタルシステムの発展型としてメタルファイトベイブレードに繋がる形になりました。

メタルファイトベイブレード

2008年8月、爆転シュートベイブレードが終了してから4年後、ほとんど金属のベイブレードで金属同士にぶつかり合う対戦型トイを開発しました。

ここから先はメタルファイトベイブレードを知らない人だと、分かり辛い部分があると思いますのであるブログを紹介します。

・【競技玩具研究所】メタルファイトベイブレードまとめ

競技玩具研究所のメタルファイト図鑑は、パーツの説明だけではなく写真もありますので分かりやすいと思います。

最初の商品は、「ペガシス 105F」「ブル 125SF」「ジタリオ 145S」「レオーネ145D」でした。

初期のベイブレードのパーツは4層構造で、
「ペガシス 105F」の場合

  1. フェイス
  2. ウィール:ペガシス
  3. トラック:105
  4. ボトム:F(フラット)

です。

フェイスの絵はペガシスですが、フェイスの名は基本的にありません。

トラックの数値は105=10.5mmで高さを示しています。

初期メタルファイトを発売したときは高校生でしたが、工業科の生徒には人気でした。

たまたま母校だけが流行っていたかもしれませんが、一部の工業科の高校生も流行っていたと思います。

当時、母校の工業科の高校生が流行っていた理由は3つだと思います。

  • デザインが青年向けで子供っぽくない。
  • ぶつかり合う金属音が気に入ってる。
  • 金属に関する授業に使っている。

メタルファイトベイブレードが流行っていた頃の工業科卒業生のみなさんは、同じような経験をしたことがありませんでしたか?

個人的に受けたメタルファイトベイブレードに関する授業は「クレイモデル造形」と「鋳造」でした。

クレイモデルで金属パーツである「ウィール」を作るために直経50mm✕高さ12mmの円形の粘土を削る。

完成したら砂で型を作るために埋めて固める。

鋳型が完成したら溶かしたアルミを流し込んで冷めてきたら型を壊して鋳物を取り出してバリ取り加工をする。

そんな感じでアルミの「ウィール」を作ったのはいい体験でした。

他にあるとすれば、ぶつかり合う金属音をもっと鋭くしたいと思った友人の提案で電動モーターを利用して超高速回転でバトルをしたことですね。

やってみた結果、かなり鋭い金属音を出せましたが、回転が強すぎたため目に追えない早さで外に飛んでスタジアムから10mくらい離れている窓に当たって割れてしまいました。

金属の塊を電動モーターで回してバトルするのは面白かったですが、危なかったです汗

ウィールが2層構造になったハイブリッドウィールシステム

2009年3月、ウィールにポリカーボネートで作ったクリアパーツが追加され「クリアウィール」としてウィールが2層構造になりました。

クリアウィールは見た目だけではなく、形状によってはアッパー攻撃をしたり、高い位置から攻撃してくるベイにコツコツと攻撃を与えるなど役割があります。

それだけではなく、クリアウィールとメタルウィールの相互性があります。(一部のパーツは除く)

メタルウィールが2層構造になった4Dシステム

2011年3月、ハイブリッドウィールシステムで開発したクリアウィールとメタルウィールの2層構造のようにメタルウィールが2層構造になったのが4Dシステムです。

4Dシステムの意味は4つのDの頭文字で、

  • DIFFERENT MATERIAL:異なる材料
  • DIVIDED WHEEL:分割ウィール
  • DYNAMIC DRIVE:豪快な動き
  • DEEP CUSTOM:奥深い改造

という意味です。

2層構造のメタルウィールパーツはこんな感じです。

組み立てるとこんな感じになります。

2層構造メタルウィールは、それぞれ専用パーツになっていますので相互性がないです。

ただし、クリアウィールと2層構造メタルウィールの相互性はあります。

2011年夏頃、初期から品薄状態が続いていましたが、段々、売れ残りがある店が増えてきました。

それだけではなく、メタルファイトに関する話題もあまり聞きかけなくなったのでそろそろ飽きてきてやめた人が増えてきたと思います。

揺れるスタジアムでバトルするZEROGシリーズ

2012年3月、ダイナミックさを求めて4Dシステムまで続いていた揺れないスタジアムから揺れるスタジアム「ゼロジースタジアム」で揺らしながらバトルするゼロジーを発売しました。

ゼロジースタジアムは中華鍋みたいな形状です。

ベイ本体もスタジアムの曲面を当てるためにパーツもゼロジー用の形状で作られていました。

しかし、3ヶ月後、メタルファイトベイブレードは終了しました。

単純に飽きただけだと思いますが、それだけはなく相互性が低かったため不評になったと思います。

理由は4つだと思います。

  • 初期から4Dまで続いていたフェイスがゼロジーに使えない。
  • ハイブリッドウィールシステムから続いていたクリアウィールが使えなくなった。
  • ウィールの相互はゼロジー専用のウィールしか対応できない。
  • トラックとボトムは一応相互できるが、ゼロジースタジアムしか向いていない形状が多い。

そういった意味で相互性が低いZEROGシリーズに興味を持たなかった人が多かったと思います。

ベイブレードバースト

ベイブレードバーストは、2015年7月から現在まで続いている3世代目のベイブレードです。

ベイブレードバーストは、爆転シュートベイブレードとメタルファイトベイブレードにはない勝ち方が増えた対戦型トイです。

前世代のベイブレードの勝ち方は、

  • スタジアムの外に弾けさせる。
  • 相手より長く回る。

この2点のみでしたが、現世代からは分解という意味で「バーストフィニッシュ」という勝利方法が追加しました。

バーストフィニッシュって何?と思っている方は、この動画をご覧なったほうが理解が早いと思います。

【破壊】バーストフィニッシュが好きな人の為の動画【ベイブレードバースト】


動画を見て分かると思いますが、ベイ同士がぶつかり合うと片方のベイが分解してバラバラになっていますよね?

あれがバーストフィニッシュです。

バーストフィニッシュという勝利方法を追加したことで変わったことは5つあると思っています。

  • 長く回り続けるベイが強い傾向という常識を壊した。
  • ベイを回す力が弱い人が圧倒的に不利にならない。
  • 低速回転で勝てるようになった。
  • 分解させて逆転勝利する快感が得られる。
  • 子供だけではなく、大人も楽しめられる。

5つのポイントがベイブレードバーストにハマった人が多かったでしょう。

ここから先はベイブレードバーストのパーツをよく知らない人だと、分かり辛い部分があると思いますのであるブログを紹介します。

・おばけブレーダーブログのバースト図鑑

バーストの基本的な構造は3つです。

  1. レイヤー
  2. ディスク
  3. ドライバー

初期から現在までの各システム

初期である「シングルレイヤー」は、レイヤーの外側がクリアプラスチックで、内側は色付きプラスチックになっています。

2期「デュアルレイヤー」は、色付きプラスチックが外側に出るようになり、クリアプラスチックと混じった形になっています。

3期「ゴッドレイヤー」は、レイヤーにゴッドアビリティという仕組みを加えました。

ラバーで回転を吸収、回転速度によって変形、スプリング内蔵で外周の部分が動くなど、それぞれ1つのギミックが付いています。

それだけではなく、ディスクもフレームというパーツが追加され、2層構造になりました。

ただし、フレームを付けられるのは、英文字ではなく数字が書かれているディスクのみです。

2期まではアルファベット1文字でしたが、3期からは数字のディスクに追加しました。

4期「超Zレイヤー」は、レイヤーの外側に金属パーツを付けて重くしたものです。

ゴッドレイヤーのようにギミックが付いているベイが多いです。

それだけではなく、一部のベイを除いて超Zレイヤーは、レベルチップを付けることが出来ます。

レベルチップとはこんなパーツです。

レベルチップを装着するとレイヤーとディスクの間にあるガタツキを抑えて回転時間が少しだけ伸びます。

超Zレイヤーが登場して後半過ぎた頃に「超Z」と名付いたヴァルキリー、スプリガン、アキレスが「超Z覚醒」というギミックが登場してから一部のユーザーが不満を感じていたそうです。

なぜ、不満を感じていたのかというと「超Z覚醒」を起動するとバーストできないからです。

知り合いから息子に「バーストしないとか終わってる。」と言われたらしいです。

さて、ある程度、強いシュートで高速回転させるとレイヤーが変形してストッパーが作動します。

するとバーストできない無敵状態になります。

ガチンコレイヤーシステム

2019年3月から始まったばかりのガチンコレイヤーシステムは、レイヤーだけで3層構造になっています。

左から順で「ガチンコチップ」「ウエイト」「ベース」の3つが1つのレイヤーとして改造できます。

どれも別のパーツと交換できる相互性があります。

ただし、回転方向は相互できるかは不明です。

ガチンコレイヤーを含めてベイ1機を組み立てるのに必要な構造は、5~6層構造です。

なので、カスタマイズの幅が一気に広がりました。

3世代ベイブレードのまとめ

「爆転シュートベイブレード」「メタルファイトベイブレード」「ベイブレードバースト」の3つから見て相互性の進化が進んでいるなと実感しました。

爆転シュートは、回転方向が自由に切り替えるスピンギアシステムが良かったですが、エンジンギアシステムから相互性が落ちてきて最終的に従来ベイと相互できないヘヴィメタルシステムで一気に冷めていったのは最大の失敗だったと思います。

メタルファイトは、ヘヴィメタルシステムの発展型として子供っぽくないデザイン、金属音、どっしり感があるベイブレードとして完成度がかなり高かったですが、安全性がやや低めでした。

クリアウィールはハイブリッドウィールから4Dシステムまで相互性がありましたが、2層構造のメタルウィールは専用パーツしかないため、メタルウィール同士の相互性がありませんでした。

当時の子供達はメタルウィール同士の相互性がなかったことに対して不満を持っていたのかどうかは分かりませんが・・・。

ゼロジーからはゼロジー専用ウィール、揺れるスタジアムに適したトラックとボトム、揺れるスタジアムの3つで相互性が一気に下がり、3ヶ月で終了してしまいました。

ベイブレードバーストは、過去のベイブレードで起こった出来事を学んで相手のベイを分解させて勝つ「バーストフィニッシュ」を追加したのはすごいアイデアだと思います。

バーストフィニッシュで回転力が相手より弱いと悟ったら諦める人が減ったので、ゲーム性としては前世代のベイブレードを超えていると思っています。

それだけはなく、相互性もかなり意識しています。

相互性が低そうに見える数字ディスクもフレームを自由に付けられるのは、割とカスタマイズ性が高いなと感じました。

ガチンコレイヤーシステムは、ガチンコレイヤー用のパーツしか対応できませんが、3層構造のそれぞれパーツを別のパーツに気軽で交換できる相互性がすごいなと思っています。

ベイブレード歴史から見て爆転シュートとメタルファイトは、目新しさを求めすぎて相互性を低くさせると一気に冷めやすくなり失敗するんだなと実感しました。

相互性がない楽しみ方もありますが、会社に勤めている開発者の立場としてマーケティング視線をよく見ないと上手くいかないんだなと思いました。

まとめ動画



以上になりますが、パーツの種類を多く作るおもちゃを開発するなら相互性の重要さも考えないといけないなと感じました。

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